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田舎豚の愛聴遍歴~No Music No Life


自分が聴いた音楽作品を記事としてアップしていきます。
by echigo-buta
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“二刀流” ではなく “コンバート” ?? & 佐藤博

今回登場の佐藤博(1947ー2012)を知ったのはこの後で紹介するCMが最初なのですが、本格的に興味を持って音盤を集めようと思い始めたきっかけは、1987年頃から88年にかけてテレビ朝日系でOAされていた『EAT9』というグルメバラエティ番組でございました。
この番組の内容については全然憶えていませんが(笑)、音楽担当としてOP・EDのみならず本編内や提供読みのBGMにまでこの方の曲が使用されていた事もあって、毎週のように視聴していた私の頭の中にしっかりとインプットされてしまった訳なのです。


本作は番組のOA期間内に発表されたアルバムです。
佐藤博『AQUA』(1988)
“二刀流” ではなく “コンバート” ?? & 佐藤博_b0404973_21380577.jpg
所有音源は、初版CD (アルファ 32XA-210)
“二刀流” ではなく “コンバート” ?? & 佐藤博_b0404973_15040786.jpeg
【Musicians】
・佐藤博 (vo, p, kb, prog)
・Patrice Rushen (vo)
・藤井美保 (vo, cho)
・Pat Mastelotto、青山純 (ds)
・Leland Sklar、Bobby Watson、伊藤広規 (b)
・Paul Jackson Jr.、鳥山雄司 (g)
・Brandon Fields、本田雅人 (sax)
・菅野よう子 (kb)
・EVE、政野早希子 (cho)

アーティストとしての佐藤博は大きなヒットが無かった事もあり、一般的な知名度はほとんどなかったと思われます。
ですが、裏方ミュージシャンとしてはCM用の楽曲を多く手掛けていましたので、“知らず知らずのうちにこの人の曲が耳に入っていた” という方は結構多かったんじゃないでしょうか?
その中でも特に知られていたのが、『ゴールデン洋画劇場』(フジテレビ) の番組内でよく流れていたコレですね~。
 ↓
※コスギ産業「ジャンセン」CM

先程 “裏方ミュージシャン” と書きましたが、佐藤氏の本職はキーボーディストであり、作・編曲家としても多くのアーティストの作品 (もの凄い数なのでここでは省略) に参加しておりました。
因みに、“幼少期にピアノを嫌々習わされたけど、後になってそれが役に立ちプロになった” というのはよく聞く “鍵盤奏者あるある” なのですが、実はこの方の場合はそれが当てはまりません。

佐藤氏の “楽器歴” の最初は中2の時に買ったギターからでした。
なぜギターかというと、同じクラスの気になる女の子がクラシックギターを習っていたからという、その辺にいる “バンド少年” たちと大して変わらない理由だったんですね~ (^^;

高校生になりビートルズと出会った事で、単に歌うだけでなく自ら作曲・アレンジをし演奏もこなすという表現スタイルに憧れを抱くようになった佐藤少年は、後にドラムセットや録音機材を導入して多重録音を始めたそうです。
現在では貸しスタジオがそこら中にありますので気兼ねなく音を鳴らすことが出来ますが、今ほど演奏環境が充実していない時代に佐藤氏のとった方法は、なんと実家(浄土真宗のお寺)に併設されていた蔵(!!)に機材を持ち込んで創作に没頭するという、かなり特殊な環境でございました。

更に、演奏環境は整ったものの “自分の頭の中にあるサウンドをいち早く音に置き換えたい” という創作面での欲求が高まった佐藤氏は、既にプロとして活動されている先輩ミュージシャンから、“作曲家やアレンジャーを志望するなら、ピアノがやれた方がいい” というアドバイスを貰った事がきっかけで本格的にピアノを習得する事を決めたそうです。

ようやくピアノが出てきました(苦笑)が、この時佐藤氏は既に20代に突入しておりました (・o・)

“二十歳過ぎからピアノなんて出来るのか?”と普通は思っちゃいますが、佐藤氏自身もその辺は解っていたようで、自分の手を “演奏マシン” に見立てて、それを自在にコントロール出来るように鍛えていくという練習方針を立てました。
そのため、一般的には『バイエル』や『ツェルニー』からスタートするところを敢えて飛ばして『ハノン』を選択したそうです。

鍵盤楽器をかじられた事のある方はお解りでしょうが、『ハノン』はピアノ教本界の嫌われ者(笑)でして、確かにテクニックを身に付けるには最適なのですが、楽しさや面白さは全くと言って良いほど無い(爆)という、ほとんど拷問みたいな教本なのです。
私の家にもかなり昔の『ハノン』が何処かに仕舞ってあるはずですが、再度引っ張り出そうという気は起きません (;^ω^)

こうして大学進学もせず、昼はピアノ練習と好きなアーティストのコピ―。夜は蔵の中で多重録音という、今だったら “引き籠もり”(失礼) 呼ばわりされそうな毎日を送っていた佐藤氏ですが、両親に「(この状態を)22歳まで好きにやらせて欲しい」と前言したことを守って、その後プロの道へ進んでいったわけなのです。
“二刀流” ではなく “コンバート” ?? & 佐藤博_b0404973_15052722.jpeg

上で述べたように、かなり早い時期から多重録音を活用してきた佐藤氏は “打ち込み” による制作形態を否定せず、本作でもMAC(懐)をメインとし、アコピ以外の自身のパートは全て打ち込みでレコーディングされました。

【収録曲】(オリジナル初版)
① AQUA (曲:佐藤博)
② Seat For Two (詞:真沙木唯, 曲:佐藤博)
③ Love is the Answer (詞:Maxi Anderson, 曲:佐藤博)
④ Transfusion (曲:鳥山雄司)
⑤ Where it All Began (詞:Jeff Day, 曲:佐藤博)
⑥ For Your Love (詞:リリカ新里, 曲:角松敏生)
⑦ My Friend (詞:真沙木唯, 曲:佐藤博)
⑧ Picnic (詞:真沙木唯, 曲:佐藤博)
⑨ Can't Buy Me Love (曲:佐藤博)
⑩ I Sing For You (詞:真沙木唯, 曲:佐藤博)
⑪ Wave For Love (曲:佐藤博)

赤字で表記されている7曲は下のリンクを開くとまとめて聴けますが、途中の曲から聴きたい場合は “手動” で合わせて下さい <(_ _)>
※曲順は一部異なっています

AQUA」→「Seat For Two (3:28~)」→「Love is the Answer (7:22~)」→「For Your Love (11:55~)」→「Picnic (15:59~)」→「Can't Buy Me Love (20:40~)」→「Where it All Began (24:49~)」

1曲目にインストナンバーを配置するのはこの人の得意パターンとなっており、本作でも波の音をSEに透明感あふれるピアノが美しい「AQUA」でスタートします。

一転してスピード感のある「Seat For Two」になりますが、この曲は当時丸大食品の『適塩食生活』のCMに使われていましたので、聴き憶えのある方は多いんじゃないでしょうか?
もちろん私もリアルタイムで見てました (^^♪

Love is the Answer」でデュエットしているPatrice Rushenは佐藤博自身が彼女の歌を聴いた際、“黒人にしてはアクが強くなくスマートな歌唱が自分に合う” という理由で起用したそうです。
因みにイントロ部分で“スティ―ルパン”のような音がしますが、クレジットを見る限りシンセで作った音色のようですね。

For Your Love」は本作の、というより佐藤博の全レパートリーの中で唯一の角松敏生による提供曲。
歌い手が異なり、歌詞も英語であるにも関わらず、メロディ(特にサビ部分)に “角松節” が思いっきり感じられます。

Picnic」は収録曲の中でもかなりソフトかつ解りやすいポップソングになってますね。因みにデュエット相手の藤井美保と日本語ナンバーの作詞を担当している真沙木唯は同一人物でございます (へぇ~×10)

本作には先に挙げた「AQUA」を含む4曲のインストナンバーがあり、「Can't Buy Me Love」もその一つです。
コーラス部分以外は佐藤博がひとりで創り上げた打ち込みナンバーですが、キャッチーなメロディと伸びやかなシンセの音色は現在(2021年)の耳でも抵抗なく聴けます (^o^)

そしてPatrice Rushen再登場の「Where it All Began」。
佐藤博のヴォーカルはいわゆる “汗臭い” 熱唱型ではないのですが、この人の作風である “AOR/シティ・ポップ” 系サウンドには非常に向いていると思います。


さて、記事の前半で述べたコスギ産業のCMですが、ここで使われた曲はオリジナルアルバムには入ってなく、収録された編集盤もとっくに廃盤なので容易に聴けない状況が一時期ありました。
ところが2015年に出た本作の再発盤(MHCL-30311)にはCMで使われた曲がボーナストラックとして収録されております♫

そのうちの「On The Wind」がつい最近(ほんの1か月半ほど前)にYouTubeにアップロードされましたので、ここに載せちゃいます (^^)/

On The Wind」 ※現行盤ボーナストラック

CM版とは少々アレンジが異なってますが、これは元々CM尺の分しか作らなかったのを、レコード化の際にメロディを付け加えてリアレンジしたヴァージョンを発表したから?かもしれません(←CMソングあるある)

個人的にはCM版のアレンジが好みなのですが、音源がリリースされる可能性はまず無いでしょうね~(涙)





by echigo-buta | 2021-07-17 23:54 | 国内 | Comments(6)
Commented by 監督 at 2021-07-18 12:42 x
佐藤博さんは存じ上げませんでしたが、ニコ動の楽曲を聴く限り、なぜかすべての楽曲を懐かしく感じてしまいました。すべて初めて聴くのにね。^^
For Your Loveは確かに角松節を感じます。コーラスにEVEの名前を見つけて、「わぉっ!」とはしゃいでしまいました。^^;
Commented by echigo-buta at 2021-07-21 00:16
> 監督さん
コメントありがとうございます。初聴なのに懐かしく思うのは、今まで多くの作品を聴いてきた事で、それらの曲の中にある時代性と同じモノを本作から感じ取ったのかもしれませんね (^o^)

>EVEの名前を見つけて、「わぉっ!」とはしゃいでしまいました。

因みにですが、「For Your Love」の作詞担当のリリカ新里は“EVE”のメンバーの一人(一番年少者)なのでございます (^^♪

Commented by 240_8 at 2021-07-22 06:31
おはようございます。
今週は今日からの連休のお陰で、ずっと慌ただしく、コメント残す時間もなく…、ただ佐藤博さんはかなり興味あったので…。

彼の名盤「awakening」のCDを、つい数年前に入手し、そのサウンドのクオリティにビックリしました(当時の記事にはechigo-butaさんからもコメント頂戴してましたね)。

このAQUAは初聴ですが、クオリティ高いですね~。夏らしいサウンドも心地いい。
やっぱりいいアルバム、佐藤博さんも結構残しているんですね。
Commented by echigo-buta at 2021-07-24 23:45
> 240_8さん
コメントありがとうございます。佐藤氏はキーボーディストがメインの肩書でしたが、私にとっては作・編曲家としての存在の方が大きかったです。
好きな曲を挙げる際も、演奏面よりメロディやアレンジの好みで選びますね~。

この人のアルファ時代の作品は(編集盤も含めて)8点くらい持ってますが、大半が “夏” 向きなナンバーなのは確かです。
ただ、少数ですがスキーシーズン向けな曲も有ったりして、季節を問わず聴ける音楽だと思います (^o^)
Commented by jetvane at 2023-03-24 16:47 x
On The Windの動画検索から辿り着きました。動画を使った者です。動画はアップ当時より10年ほど前に作り一度Youtubeにアップしていたものを再びアップしたものです。

田舎豚さんの佐藤博さんへの見識、恐れ入りました。詳しく知ってはりますね。僕はアルバム"This Boy"が特にお気に入りで、正に夏の、それも海のお供の傑作だと思ってます。

佐藤博さんが急逝されて久しいですが、これだけ佐藤博さんについて語れる方もなかなか見当たらない時代になってしまいました。素晴らしい記事を拝読し、嬉しさのあまり一言コメントせずにいられませんでした。
Commented by echigo-buta at 2023-03-24 23:30
> jetvaneさん
いらっしゃいませ、ご訪問そしてコメントありがとうございます。
まさかUp主の方が来られるとは思ってもいませんでした。
こちらこそアップロードして頂きありがとうございます <(_ _)>

YouTubeでの佐藤氏の楽曲はえらく少ない為、「On The Wind」を見つけた時は真っ先に使いたいと思い自分の記事に採用したわけです。
『This Boy』は私もCDで持ってます。あれは厳密には編集盤(BEST)なのですが、「スウィート・インスピレーション」のリメイク版といった他のアルバムで聴けない曲も入ってたので非常に重宝しましたよ (^o^)

>佐藤博さんについて語れる方もなかなか見当たらない時代になってしまいました。

ドリカムの名裏方としての知名度はありましたが、確かにアーティストとしての佐藤氏を語れる人はなかなかお目にかかれませんね~(涙)

改めて、この度はご訪問ありがとうございました。
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